書評41 さのすけ-その12 「ぼっけえ、きょうてえ」岩井志麻子
今日の感想は、
岩井志麻子先生の
Amazon.co.jp\500
第6回日本ホラー小説大賞受賞作です
ちなみに、短編なので、表題の「ぼっけえ、きょうてい」以外にも、
「密告函」、「あまぞわい」、「依って件の如し」の三編も収録されております
では、あらすじと感想をば
「ぼっけえ、きょうてえ」
岡山の遊郭で女郎が寝つかれぬ客に語り始めた身の上話。その話とは……
があらすじです、他書くとネタバレに近いんで
この作品の怖さは、怖いより全編を通して感じる不気味さにあると思います
全編を通して文章が、女郎の会話のみ故の不気味さ
女郎の会話のみの為、
読者はどんな部屋で会話がなされているか
どのように向き合って会話しているか
イントネーションはどうなのか?
その時の女郎の、あるいは客の感情は?
その全てが読者に委ねられます
その為、想像しか出来ない怖さが読者に付きまといます
読者が怖い方怖い方へと想像したが最後
その想像がより怖い方へと誘われるでしょう
ちなみに、「ぼっけえ、きょうてい」とは
岡山弁で「すごい、怖い」って意味です
ホラー小説に「すごい、怖い」って、
推理小説に「事件、起きる」ってタイトル付けるようなもんですが、
方言ならではの怖さが、
「きょうてえ」って言葉から更に「きょうてえ」を引き出している気がするのは、
気のせいでは無いはず
「密告函」
リアルな人間の怖さが描かれた作品
あんな人が裏では……
「あまぞわい」
あまぞわいとは「海女」なのか「尼」なのか……
個人的に他の作品が面白かっただけに、一段面白さが下がる作品に感じました
「依って件の如し」
閉鎖された村特有の不気味さ、人間の怖さを感じる作品
犯人は読んでれば想像付くが、
あのオチは想像付かないのでは無いか
星5中、★★★☆☆(星4よりの3)
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