書評46回目 ぬい-その3《ポー 怪奇幻想集1 赤の怪奇》E・A・ポー 金原瑞人/訳 ダビット・ガルシア・フォレス/画

 この本は「ヴィジュアル・ストーリー ポー怪奇幻想集」というシリーズで、江戸川乱歩…ではなくエドガー・アラン・ポーの短編を、ゴシックホラーなイラストでビジュアル化しているというもの。

 読んでみると、まず、紙のフィールドで、ここまでポー独特の奇しい雰囲気を出せるのか!と驚いた。

 中二病みたいで恥ずかしいが、夜に間接照明だけ点け暗くして読んだのだが、うーん、良い感じだ。ショートショートだからこそ出せるオチのインパクトも秀逸だし、イラストも洋画家のトレヴァー・ブラウンを思わせる、不思議さと不気味さが混在した雰囲気で引き込まれる。文章も、ところどころに文字遊びが入っていて面白い。翻訳者はさぞ苦労したことだろう。

 ポーの生涯についても少し書かれていたが、人生と作品が分ちがたく結びついている作家がいるならば、それはエドガー・アラン・ポーだろうとあった。人生にいつも暗い影のようなものが付きまとっていた彼だが、その中で数々の名作を世に送り出した彼は、(性格にも少々難があったらしいが)偉大な作家であったことに間違いない。

 ショートショートなのでさくっと読めるし、個性的なイラストやレイアウトで本全体がポーの世界観となっている。読めばポー作品の怪しくも耽美的な魅力に取り憑かれることだろう。


Book reviewer友の会

好きな本を月~金の平日、曜日担当メンバーが書評または、感想を上げます。 金曜だけは、月一メンバーが担当するんで、変則的!! 担当メンバー さのすけ MRX KK ado ぬい うさちゃん

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